マウスピースを付けると本当に飛距離は伸びるの?実験してみた!
2012年に東建ホームメイトカップでプロゴルファーの尾崎直道が失格となった事件をご存じの方も多いのではないでしょうか。
これはマウスピースを使用していた尾崎直道選手が、他選手に対して「マウスピースをしていると飛距離が伸びる」と話をしていたことが発端。
不正な器具(このケースではマウスピース)を使用して飛距離を伸ばしている、と判断されてしまい失格となったんですよね。
ところでマウスピースをすると本当に飛距離が伸びるのか、疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。実際のところマウスピースをすると飛距離は伸びるのか、実験してみたいと思います。
マウスピースの本来の目的は歯の保護
マウスピースはボクシシングやラグビー、アメリカンフットボールなど激しいコンタクトの発生するスポーツで、口の中や歯そのものを保護するための目的として使用されるのが本来の役割です。
スポーツ用途以外では、歯の摩耗などを抑えるために使われるケースもありますね。
マウスピースをすると体のパフォーマンスはアップするのか?
マウスピースをすることで、瞬間的な筋力がアップしたり、一瞬だけスピードがアップする、集中力が上る、などのスポーツに関するパフォーマンスは向上するのでしょうか。
答えを最初に言ってしまうとマウスピースがスポーツに及ぼす効果は実証されていません。
ということは、マウスピースをしたところでゴルフのドライバーショットの飛距離が伸びるわけではない、という結論にたどり着きます。
コンタクトスポーツでの効果は心理的なもの?
スポーツにおいて接触が発生する競技がありますよね。最初に挙げたラグビーやボクシングなどがその代表です。
それらのスポーツにおいてマウスピースで得られる効果は心理的なものが大きいと考えられています。
それは接触による口の中の負傷や、歯の欠損、これらの事故を避けるために思い切ってプレーができない、と無意識に感じてしまいパフォーマンスが落ちる可能性があります。
しかしマウスピースで歯や口の中が守られていれば、それによる安心感が出てきます。よってプレーに集中できるメリットがあります。
さて、対してノンコンタクトスポーツとも呼ばれるゴルフではどうでしょうか。
人との接触は一切ない競技であるため、心理的なメリットはほぼないと言っていいでしょう。
実際にマウスピースを装着してショットした結果は?
実際にマウスピースを装着してショットをした結果、やはり結果に差は出ませんでした。
普段ドライバーのヘッドスピードが42m/s、飛距離が230~240ヤードの筆者が実際に試打してみました。
ヘッドスピードが42m/sで240~250ヤードほど飛距離を出す女子プロゴルファーと同じくらいの筆者。
プロと比較するとやはりミート率が低めなのが気がかりですが、そこはアマチュアゴルファーとして見ていただけると幸いです。
ドライバー試打データ
試打した人 | 40代男性 身長165cm 一般的~やや筋肉質寄りの体格 |
ヘッドスピード | 42~3m/s |
クラブ | テーラーメイド M4ドライバー ロフト角9.5度 |
シャフト | UST MAMIYA ATTAS COOL 7s |
身長は低めですが、筋肉質でパワーはあるタイプの筆者。しかし最近は運動不足気味、という一般のアマチュアゴルファーでもかなり多そうなタイプなので、被験者としては最適なのではないでしょうか。
※トレーニングをバリバリやっていた頃にシャフトを変更しているため、現在ではオーバースペック気味となっていますので注意!
そんな「普通のオジサン」の筆者が、まずはいつも通りにショットしてみます。
まぁ少し引っかけましたが、いつも通りで大体このような範囲に収まっています。
さていよいよマウスピースを使用して、歯を食いしばって打とうと思ったんですが、ここである問題に気付きます。そう、ドライバーショットのときって、歯を食いしばって打たないんです(僕は)。
もちろんマウスピースをしたって似たようなデータばかりが並びます。
うーん、やはり・・・
ならばと歯を思いっきり食いしばって打ってみると、余計な力が入るのかミスショットの連発。
ようやくある程度まとまってきたところでこの数字。
力を入れて歯を食いしばってスイングするとヘッドスピードは上がりました。
でもこれはショットの方向性を無視しての話。そのためマウスピースの有無は正直関係ありません。
(マウスピース無しでもコントロールを無視すればこれくらいのヘッドスピードになります)
ただ弾道を見てみるとドローからフェード弾道に。
そしてバックスピン量が激増。
注目すべきはヘッドスピードが上がったのに飛距離が変わってないんですよね。このあとも44m/sのヘッドスピードを維持してスピン量を減らそうとショットしますが、なかなかそう上手くはいきません。
最終的にヘッドスピード46m/s、飛距離260ヤードまで伸ばすことに成功しましたが、実戦でとても使えるようなショット成功率ではありません。
そのためマウスピースをして、実戦で使えるようなドライバーショットをする場合には、飛距離との因果関係はない、と結論づけられるのではないでしょうか。
しかし冒頭で紹介した尾崎直道プロのように、マウスピースによる飛距離の効果を実感できている例もあるのは気になるポイントですね。
ぜひ興味のある方はマウスピースを着用して弾道測定をしてみてはいかがでしょうか?
飛距離が伸びるとしてマウスピースを使用すると、競技などでは失格となる可能性がありますので、それは避けてくださいね。